その4。
麻酔がまだ残っているので、とにかく眠い。
ナースだか誰だかが2人やって来て、血圧と心拍数を測って行ったのは覚えている。
すぐにだんなが来て、出てくるところで声をかけたんだよと言われた。
ちゃんと知ってたよ。でもだるくて目も開けられなかった。
手術は1時間ほどだから、部屋に戻って来たのはたぶん9時半くらい。
目が覚めたらお水を飲み、またまどろんでいつの間にか眠りに落ちる。
それを繰り返して、お昼頃になった。
ナースが、何か食べたいものがあるかと聞いて来た。
サンドイッチ?クラッカーでも?
いや、食欲は全くない。
いらないと答えると、薬も飲んでいるから何か食べれるものを食べないとね、と
またゼリーとプリンを持って来てくれた。
ちょっとずつゼリーを食べたけれども、手術の前の夜にはまだ美味しいと思えたゼリーも、手術の後は味が濃過ぎて食べるのも嫌なくらいだった。
そして初めてのトイレ。
まだ麻酔でフラフラしていたのでナースに付き添ってもらい、トイレへ。
終わったらこの紐を引っ張ってね、と言われたのに、終わって紐を引っ張るのを忘れてドアまで行ってしまい、引き返すのが面倒だったのでそのままベッドに戻ったが、今度は寝ることができない。
傷口が痛いので力をどこに入れたらいいのかわからず、途方に暮れてベッドに座っていたら、ナースに発見され、手伝ってくれた。
麻酔が切れてくると、今度は痛みが気になる。
傷口が痛い。痛いけれどもそれはしょうがない。手術をしたのだから。
痛み止めの薬で緩和するだけ。
またうつらうつらしていたら、今度は夕ご飯の時間。
食べたいものは?と聞かれたけれども、食欲は全くない。
今度はナースに「何か食べないとね」と言われ、普通にみんなが食べるものと同じ食事を持って来た。
丸いプラスティックの器のフィルム蓋を剥がすと、熱々の料理が乗っている。
櫛形に切ったポテトにミニキャロット、ブロッコリー。
そしてメインは、ビーフシチュウみたいなもの。牛肉の薄切り、細切れになったものが入った、グレイビーソース。
わー、見た目からして濃い!
Jelloからして味が濃いと思ったくらいだから、こりゃダメだ。手術して間もない人が食べるものじゃない。
栄養的には良さそうだけどな、2日目だったら食べれたかもだけど。
だんなが「美味しそうだ」と一口味見していた。病院食にしては美味しいと言ってたよ。
私は自分を励ましながらポテトを3切れゆーっくり食べた。それで蓋をした。
しばらくして若い手術のチームだったドクターがやって来て、今日の夜家に帰ってもいいし、このまま明日まで居ても構わないと言った。
痛みがあったからどうだろうかと思ったけれど、痛みがあるのは普通だからと言うので、だったら痛み止めの薬を飲めば大丈夫だろうと帰宅することにした。
帰宅したのが夜8時半ごろ。
薬が効いていたのか、車に乗るのもそれほど苦ではなく、痛みもあまりなかった。
少しゆっくりして、バナナとか軽く食べて薬を飲んでベッドに入った。
夜中にトイレに起きたが、起きるのが辛い。
病院のベッドのように持ち上がらないし、捕まるところがない。
ひっくり返って元に戻ろうと苦労する亀のように、わさわさ動いて痛みと闘いながらなんとか上半身を起こせた。
この時、やっぱりもう一晩泊まればよかったかなと、ちょっと後悔した。
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